雑誌「音楽と人」2021年2月号

 

 表紙:SixTONES

  「空の青さを知りたくて」

 

 

ジェシー

 

  • 普通のことをやってもつまらないし、とにかく自由でいたいんですよね。縛られたくない。もちろんアイドルではあるけれども、普通のアイドルではないぜ、っていう思いがあるんです。この6人だから面白いねってものを見せたい。だからとにかく挑戦する。それで失敗するならしょうがないと思うんです。

  • (それは)SixTONESだからこそ、かな。みんなといれば安心できるし、やれる幅も広がる。ひとりでバラエティとか出る時と、SixTONESでいる時の自分って違うんですよ。6人でいると、自由にボケられるし、その瞬間がすごく楽しくて。

  • Jr.の時、ジャニーさんに「ひとりで唄いなよ」って言われてテレビで唄わせてもらってたんですよね。でもそんなに応援されてる感じはなくて。どうすればいいんだって考えて、一発芸とかをするようになるんですけど、そういう孤独じゃないけど、寂しさみたいなものを経験したから、心が強くなったし、今グループで自由にできることに繋がるんですかね。

  • 18、19のころ、SixTONES結成するちょっと前に、いつ辞めても大丈夫なように、いろんな人と繋がりを作ってた時期もあったんですよ。少し大人になって、いろんなことに興味持ったり、知り合いも増えたりしてたんで、一応の保険みたいなのをかけて。でもラストチャンスでSixTONESを組んで、今もこうしてアイドルを続けてる。人生って面白いですよね。

  • いずれは海外に行けたらいいなっていうのもあるので。ただ、それも焦らず、ちょっとずつ広まればいいんです。この6人なら面白いことは絶対できると思うんで。

  • バラバラば6人だけど、みんなが集まった時、なんかほっとけないグループだなってなれたらよくて。ひとりはやっぱり寂しいんですよ(笑)。みんながいるから強くなれるし、自信も持てる。昔は孤独だなって思ってたこともあるけど、そういう瞬間は誰しもあると思っていて。ひとりになると、自分だけだって考えこんじゃうじゃないですか。そう感じやすい時こそポジティブに考える。僕は自分が弱いからこそ、<大丈夫だ!>って自分に言い聞かせてきた。そしたら本当に<大丈夫!>って思える仲間に出会えて、今があるんで。本当に不思議ですよ。

  • 自分たちは目指す場所に進んでいくだけなんで、音楽を聴いてくれたみんながどう感じて、どう生きていこうと思ってくれるか、それがすべてです。自分の人生は自分で決めるものですから。

 

京本大我

 

  • SixTONESはずっと何かに挑戦してきたから、攻めてないと不安で、自信が持てないんですよ。SixTONESで作ったものには自信がありますよ。でも自分に自信がないです。

  • アイドルは何をやってもいいですけど、アイドルであることを究めるしかないじゃないですか。もちろん歌もミュージカルも真剣にやらせていただいてますけど、あくまでアイドルだから、憧れには手が届かない気がしちゃうんです。一昨年のFNS歌謡祭で井上芳雄さんの圧倒的な声量と表現力を目の当たりにして、自分はなんて中途半端なんだって、めちゃくちゃ落ち込んだんですよ。

  • 僕は音楽しかないと思ってます。SixTONESに俺が必要とされてるのって、たぶん音楽面だと思うんです。ほかのメンバーが出せないところまでキーが出たり、僕にしか表現できない楽曲もあるから。それでも自分に自信がないし、不安がずっと拭えない。

  • 昔、ミュージカルのスケジュールが入って、5人で仕事をしなくちゃいけない時があったんですけど、それをテレビで観たら、5人で成立してる気がしちゃって。<あ、俺いらないのかな......>って、ネガティブになっちゃったんです。それくらい不安の塊なので(笑)。だから共にいろんなことを経験してきたメンバーといたいし、その期待に応えたい。そんな自分には自信が持てるので。あと、ここにいれば、自分ひとりだったら通らなかった音楽に触れるので、その曲に合った唄い方を探していくと、気づかなかった自分の可能性を知るんです。

  • 俺にとって音楽は特別ですよ。

  • このグループにはいろんなジャンルの引き出しと可能性があることを知ってもらいたかったし、僕がたったひとつ誇れる場所を、見てほしいんですよね。

 

松村北斗

 

  • 僕から見た5人は、僕にない力を持ってる人たちなので。ただ…めっちゃ気が合わないんですよ(笑)。聴く音楽も違うし、好きなものも違う。性格もバラバラで、クラスにいても友達になれない(笑)。でも結成して5年、嫌でも一緒にいると、腹が立つけど説得力のあることとか、全然理解できないけど形になる瞬間を、目の前で見るんですよ。僕だけだと何も想像できなかったものが、6人でやる画は想像できるし、信じられるんです。

  • ボカロは息継ぎ関係なく作られるから1人じゃ唄いきれないけど、俺らは6人いるから唄い繋げばできる。

  • どんなにバラバラな考え方でも、根っこには同じ気持ちを抱えているんですよ。

  • <この星のHIKARI>と<BE CRAZY>の2曲は、結成した時のオリジナルなんで、あのしんどかった時代を思い出しますね(笑)。1年目にして、俺、この世界ではやっていけないんだな、って。やってもやってもうまくいかないし、どのパフォーマンスが正解なのか、まったくわからなくて。あの日感じた思いをみんな持っていますね。だからJr.時代の、何もわかっていない2曲も、このアルバムに入れておきたかったんです。それも含めて俺たちだから。

 

高地優吾

 

  • 海外でパフォーマンスしたいという欲はもちろんありますけど、まずは日本で爆発的にヒットして、海外アーティストから注目を浴びたり、向こうの音楽番組から声がかかるみたいなパターンのほうがうれしいとは密かに思ってます。だから大事なのは国内にいるファンの皆さんだし、日本代表としてチャレンジしたいので、まずは日本で流行ってからというステップを踏んでいくほうがいいかなと思ってます。

  • 1曲1曲を大事にして頑張っていればその夢も叶うだろうし、たとえそれが10年後、20年後だとしても、デビュー当時から言っていたことが成し遂げられる喜びはあるだろうし、時間がかかってもいいからSixTONESとしての基盤をしっかり作ってやっていきたいですね。

  • 自分たちが1番SixTONESを楽しんでいる。振り返ると大変なこともありましたけど、これからも特別なことは考えずに目の前のことひとつひとつに集中できればいいと思うし、メンバー間でもそういう意思疎通ができてる。

 

森本慎太郎

 

  • 最近は人の曲でも自分が唄ったものでも、どこでしゃくってるのかとか、唄い方のアプローチを気にするようになりました。そこは音楽を聴くうえで一番変わった部分かもしれないですね。

  • 1枚の作品にいろんなジャンルの音が入ってるけど、自分たちの声が乗るだけでSixTONESらしい楽曲になるから、そこが聴いてて面白いですね。

  • SixTONESになってからは<もう一人の自分>というか、すべてイチから吸収している感覚があって、あの頃はあの頃で学ぶことはありましたけど、今のほうが新しいことを吸収してる感がありますね。それは自分の中で新しい自分として区切っているからでしょうけど。

 

田中樹

 

  • (挑戦したり前に進んでいくときの原動力は)仕事だから。上手くいった時はもちろん、何か大きなミスをした時、仕事だからって割り切るんです。そうすると、すごく気持ちが軽くなるんですよね。僕ネガティブだし、考え込みやすいんで、それが人生のすべてって思っちゃうと、あまりいいものができなくなっちゃうんです。いい意味でラフに捉えることで、やりたいものを素直にできるようになったんです。

  • 僕らはみんなネガティブなんで、基本、何事もいい方向に物事を考えようって思っているかもしれないですね。例えば、僕たちはゴールを設定してないんですね。明確な目的がない。だからこそ、起こったすべてをポジティブに捉えられるというか。目の前に壁があって、違う道を行かなきゃいけなくなったとしても、それを逃げたって感じる人もいるかもしれないけど、ゴールを設定してないからルートを外れたわけじゃないし、踏み出した方向が前になるんですよ。

  • 僕たちのファンのみんなとか同世代のSnow Manはいたけど、親身になってくれる人がほとんどいない気がしていて。だからこそ自分たちですべて都合いいように捉えてやるしかなかった。それが今では強みにもなっているんですけど。

  • 僕はずっと反骨精神でやってきているので。大げさな言い方ですけど、<なんで俺のこと理解してくれないんだよ。理解してくれないなら辞めてやる>って考えじゃなくて<理解してくれないヤツはぶっ倒してやる>っていう精神なんです。俺らのことを相手にしなかった大人を見返してやるとか(笑)。そういう気持ちでずっとやってましたね。それはなくならないと思うし、なくならなくていいとも思ってます。その気持ちが今の僕を作っているので。

  • でもSixTONESはうまくいく気はしてましたけどね。ネガティブだけど、そういう自信はずっとあるんです。自分たちが一番カッコいいと思ってたし、今も思ってる。このアルバムでそれがまたひとつ証明できたと思います。

 

 

インタビュアーまとめ

 

グループで音楽に向き合う意識がとても高く、真摯で、それを隠そうとしていない。ファンだけでなく、その向こう側へ。与えられたものではなく、自分たちで信じた方法で切り開いて行こうとする姿勢がはっきりわかる。

音楽という表現には、その人のリアルな感情が映し出されるものだ。SixTONESの楽曲には、嘘っぽさや演じている様子がない。歌詞や曲を手掛けているわけではないが、そこに唄われている、過去の傷や痛みを受け止めて、それでも未来へ歩を進めようとする姿は、彼らのデビューまでの5年間と被る。

 

彼らは順風満帆な道を歩いてきたわけではなかった。10代半ばに出会い、ドラマに抜擢され、自分たちの意思とは逆に、バラバラに活動することになり、もう芸能活動をやめるつもりでいたメンバーもいたという。それでも、またこの6人で何かがやりたい、と強く願っていたジェシーの思いがお互いの気持ちをつないだわけだが、その挫折しかけた悔しさややるせなさ、闇に突き落とされたようなあの時の気持ちを、このグループは今も強く共有している。必死で光を探そうともがいていたあの日の思いが、根っこにはある。闇があるから光がある。そして闇を知っている人たちだからこそ、光の有り難さがわかっている。

 

だからそれを隠しておきたくなかった。音楽というリアルな感情を映し出す表現が何よりも適していた。そして気が付けば、英語を使い、ラップを操り、歌唱力があり、幅広い音域を唄いこなせる、そんなメンバーが揃っていた。バラバラだけど、それが強みになった。いや、強みとするしかなかったのかもしれない。音域も、高音と低音をお互いが受け持つからこそグループでやると武器になるが、ひとりだとそれを活かしきれない。だからこそ6人でないとならなかった、ひとりでも欠けると、足りないのだ。

 

狙ったわけじゃない。何かに影響を受けて真似したわけでもない。ここしかなかったのだ。だから逃げずに、強い意志で音楽に向き合った。腹をくくったその覚悟が、このアルバムにはある。

 

<最果てだなんて簡単に割り切るな 空が青い理由もまだ知らないままだ>「ST」